進む火星探査!水は?生命体は?火星の特徴を総括

宇宙をテーマにしたアニメや映画でおなじみの火星。惑星のなかでは、地球の環境に最も近いといわれています。 1964年に火星探査が始まって以降、火星の研究が進み、ついには火星移住計画も誕生しました。 火星とはどのような星なのでしょうか。人間が住むための水や大気は存在するのか。 火星に関する概要と、将来の展望を解説します。
1. 火星とは
太陽とその引力によって太陽を中心に動いている天体の集団を、太陽系といいます。
火星は、地球に次いで4番目に太陽に近い惑星です。
ここで、惑星の定義も覚えておきましょう。
惑星:自己の重力によって球形をなしており、太陽の万有引力によってその周りを楕円運動する天体。太陽に近い順に、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の9個。
火星は独特の赤みがかった色が特徴です。この色から、古代ローマでは軍神マルスの名が冠されてきました。火星を英語で「Mars」と呼ぶのは、この風習を踏襲したためです。
中国では、火星の色が人々の心を惑わすという言い伝えがあり、「熒惑(けいわく)」と呼ばれていました。
火星は古代から、ミステリアスな天体だったのですね。
2. 火星の特徴と地球との比較

宇宙ビジネスの分野でも注目度が高い火星。地球とはどのような違いがあるのでしょうか。
火星と地球を比較してみましょう。
地球との比較で知る火星
地球に関する数字から、火星について知りましょう。
地球から火星までの距離:最接近時で7,528万km
(地球の軌道はほぼ円ですが火星は楕円形のため距離が変化します)
火星の半径:3,396.2km(地球の約53%)
火星の質量:6.41 x1023 ㎏(地球の約11%)
公転周期(惑星が太陽を一周するために要する時間):687日(地球は365日)
自転周期:24時間39分(地球は24時間)
自転軸の傾斜:25.19度(地球は23.44度)
地表の温度:平均は-50℃(夏期は20℃、極域では-130℃に達するところもあり)
火星が持つ衛星
惑星の引力によって、惑星の周囲を巡っている天体を衛星といいます。地球の衛星はひとつだけ、「月」です。
一方火星は、2つの衛星を持っています。1877年、火星大接近時に、アメリカ海軍天文台によって発見されました。
火星に近い衛星を「フォボス」、もうひとつの衛星を「デイモス(ダイモス)」といいます。軍神マルスの息子たちの名前が、衛星につけられました。
3. 火星の表面・水、そして大気

火星の環境は、少しずつ明らかになりつつあります。
これまでの探査でわかっている火星環境を見てみましょう。
火星の表面
独特のカラーを演出する火星の表面。
近年の研究で、火星の赤を演出しているのは鉄の酸化物、つまり錆であることが判明しました。
酸化鉄の砂塵が火星の表面を覆っているため、地球から見ると赤く見えるというわけです。
火星の大気
火星には、大気があることがわかっています。ただしその量は、地球の100分の1とも200分の1。かなり薄い大気です。
また大気の約95%は二酸化炭素であることも報告されています。残りの5パーセントは、窒素やアルゴン、そして微量の酸素。
また火星には四季があることもわかっていて、地表の温度も大きく変化します。
火星の水
生物の存在に欠かせない水。実は火星には水が存在しているのでは、と推測されています。
その理由はまず、火星の地表に刻まれた地形にあります。地下から染み出した水の浸食でできたと思われる地形や、堆積岩の存在が明らかになっているためです。
火星の地下には、氷となった水が存在していることが探査機の調査で判明しています。
4. イーロン・マスクが思い描く火星の未来について
宇宙ビジネスの分野で活躍する実業家イーロン・マスク。
マスク氏は「宇宙文明によってよりよい未来」を構築したいと、スペースX上で語っています。
彼は火星をどのように見ているのでしょうか。
火星移住の可能性や火星都市
火星は、他の惑星よりも地球に近いところにあります。この利点を生かして、火星移住計画が持ち上がっています。
マスク氏は「地球は気候変動などで滅亡する可能性もある。バックアップとして火星に住めるようにする」として、この計画を推進しています。
近年中の有人火星着陸を目指すスペースX。
将来的には、テラフォーミングの実現も念頭に置いているそうです。
テラフォーミングとは、天体の環境を地球に近い状態にして、人間や生命体が生活できる状態にすることを指します。
火星は二酸化炭素に覆われていますが、地中にある水や資源を活用し、人間が住める環境を建築するという壮大な計画です。
テラフォーミングを最初に提唱したのは、SF作家のジャック・ウィリアムソンでした。
1942年に登場したテラフォーミング計画、NASAはまだまだ懐疑的ですが、マスク氏はやる気満々、といったところでしょうか。
火星移住計画はアラブ首長国連邦も!
資源大国アラブ首長国連邦(UAE)も、火星移住計画に積極的。
火星にロボットを送り、人間が生活できる拠点を建設するというプロジェクトを発表しています。
各国と協力しながら、2117年までに火星に都市を作るという長期計画、夢がありますね。
5. 火星探査の現状とこれから

地球から近い惑星であることから、火星の探査はさまざまな形で行われてきました。
火星探査の歴史と将来を解説します。
火星探査の歴史
地球から火星まで、約250日(8カ月)を要します。
本格的な火星探査の歴史が始まったのは1964年。アメリカが打ち上げたマリナー4号を皮切りに、数多くの探査機が火星に向かいました。
その歴史を追ってみましょう。
年号 | 出来事 |
---|---|
1964年 | アメリカのマリナー4号が火星に向かって打ち上げ。翌年、火星表面9,800km地点を通過し、近接撮影に成功。火星にはクレーターがあること、二酸化炭素に覆われていることが判明 |
1971年 |
アメリカのマリナー9号が火星周回軌道に入る。オリンポス山、マリネリス渓谷などが発見される。 同年、旧ソ連のマルス2号と3号も火星周回軌道に。マルス2号は着陸失敗。砂嵐がひどく、表面の探査が難しかったという報告あり |
1975年 |
アメリカのバイキング1号打ち上げ。火星のキュルセ平原に着陸。翌年、バイキング2号がユートピア平原に着陸 周回によって5万2,000枚以上の画像を取得し、気温や大気、季節周期、表面の物質などが明らかに |
1997年 |
アメリカのマーズ・グローバル・サーベイヤー探査機によって高解像度画像を取得 同年、マーズ・パスファインダー探査機が火星のアレス渓谷にパラシュート着陸。初の火星探査車ソジャーナによって岩石などを調査 |
1998年 | 日本の宇宙科学研究所が火星探査機プラネットB(のちに「のぞみ」と改名)を打ち上げ。トラブルにより周回軌道にのせることができず |
2003年 | ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスが火星到着。火星の生物調査が主な目的であったものの、その後応答がなく失敗に終わる |
2006年 | アメリカのマーズ・レコネサンス・オービター探査機が最大口径の50センチメートルカメラが搭載し火星周回軌道に |
2008年 | アメリカのフェニックス探査機が火星に着陸。機体が重すぎてパラシュート着陸ができず、ロケット噴射によって北緯68度地点に着陸。地面の下に水氷が広がっていることを確認 |
2013年 | インド初の火星探査機マーズ・オービター・ミッション(愛称マンガルヤーン)打ち上げ。2014年に火星周回軌道にのる |
2014年 | アメリカの火星周回機メイブンが火星周回軌道に。大気や太陽風を調査 |
2016年 | カザフスタンからESAとロシア宇宙庁の火星探査機エクソマーズ2016が打ち上げられる。周回機のレース・ガス・オービターは周回軌道にのったものの、着陸機スキャパレルは着陸失敗 |
2018年 | アメリカの火星着陸機インサイトは赤道近くに着陸。高感度火星地震計を搭載し、火星の内部構造を調査 |
2020年 | アラブ首長国連邦初の火星探査機のアルアマルが種子島宇宙センターから打ち上げ。2021年、周回軌道にのる |
2021年 |
中国の火星探査機となる天問一号が周回軌道にのり、火星着陸成功。探査車も火星表面に降ろされる 同年、アメリカの火星探査車パーサビアランスがイェゼロ・クレーターに着陸。世界初の火星ヘリコプターを分離し初飛行を行う |
今後の火星探査について
スペースXやアラブ首長国連邦によって、火星の都市化が進められています。このプロジェクトは、月の有人着陸を目指す「アルテミス計画」と関連付けられています。
アルテミス計画により、月に燃料補給地を建設。火星への効率的な行き来を実現するというもの。宇宙開発は今、月と火星の一体開発が進行中です。
6. 最後に
他の惑星と比べると、地球に近く、環境も似ているといわれる火星。
数々の探査機によって大気や水の存在が認められ、生物や内部構造の調査も進行中です。
将来において人類が長期滞在できる環境を整えるプロジェクトも開始され、火星には熱い視線が向かっています。
アニメや映画で見た火星へのアクセスが可能になる日は、そう遠くはないのかもしれません。